[平成20年度文部科学省委託事業]
「学びあい、支え合い」地域活性化推進事業に関する 調査研究報告書

調査の概要
本調査は、文部科学省の委託により、平成 20 年度財団法人全日本社会教育連合会内に設置した「学びあい、支えあい」成果活用運営協議会が、「『学びあい、支えあい』地域活性化推進事業」についての事業分析及び事例調査を行ったものである。

1 .調査の目的

 文部科学省では、 2007 (平成 19 )〜2008 年(平成 20 )の事業として、「社会の急激な変化に伴う住民同士の連帯感の欠如や人間関係の希薄化等による地域教育力の低下に対処するため、住民がボランティア活動や家族参加の体験活動、地域の様々な課題に取り組みながら解決する活動などを通して、住民同士が「学びあい、支えあう」地域のきずなづくりを推進する」(「『学びあい、支えあい』地域活性化推進事業実施委託要綱」より抜粋)ことを趣旨として、「『学びあい、支えあい』地域活性化推進事業」(以下、「学びあい、支えあい」)を実施した。

 「学びあい、支えあい」成果活用運営協議会では、この「学びあい、支えあい」地域活性化推進事業の研究委託を受け、平成 19 年度に実施された事業について、特に評価についての分析を行うとともに、平成 20 年度における地域活性化の取り組み(「学びあい、支えあい」地域活性化推進事業採択事例)を行っている注目すべき事例を取り上げ、質問紙調査及び訪問聞き取り調査によりその具体的内容や成果・課題などを明らかにし、それらを報告書としてまとめることにより、広く地域活性化の取り組みの参考に資するものである。

2 .調査組織

 本調査では、学識経験者及び生涯学習・社会教育関係職員からなる「学びあい、支えあい」成果活用運営協議会を設置し、同運営協議会が調査対象や調査方法の検討から調査の実施、調査報告書の執筆までを中心的に行った。委員は以下の通りである。

 鈴木眞理(青山学院大学教授・委員長)

 岩崎久美子(国立教育政策研究所生涯学習政策研究部総括研究官)

 上田裕司(国立教育政策研究所社会教育実践研究センター社会教育調査官)

 加藤美幸( 埼玉県教育局市町村支援部全国生涯学習フェスティバル推進室 )

 原義彦(秋田大学准教授)

 村上長彦(東京都足立区教育委員会)

( 50 音順)

 なお、調査の実施及び調査報告書の執筆に関しては、上記委員以外の生涯学習・社会教育関係者にもご協力いただいた。

3.平成 19 年度「学びあい、支えあい」地域活性化推進事業の分析

 文部科学省による、平成 19 年度「学びあい、支えあい」地域活性化推進事業の実績報告書関連データをもとに、 データ集計専門業者によるブロック別にみた委託事業における活動件数と委託事業における参加人数平均値の算出を行った。

 また、実施結果について、原義彦委員が中心となり、 事業実施により得られた効果・成果、今後の課題、改善方策等について 分析を行った。

4.平成 20 年度「学びあい、支えあい」地域活性化推進事業事例調査

 調査対象の選定については、平成 20 年度「学びあい、支えあい」地域活性化推進事業の委託を受けた、注目すべき地域活性化の取り組みを行っている事例を選定した。調査対象として選定した地域は、以下の通りである。

○北海道 <北海道 帯広市>

○東北 <岩手県 久慈市>

○関東 <栃木県 足利市> <東京都 杉並区>

○中部・近畿 <大阪府 豊中市>

○中国 <島根県 松江市>

○四国 <香川県 高松市> <愛媛県 松山市>

○九州 <熊本県 水俣市>

 また、調査方法については、原則として訪問聞き取り調査の予備調査となる質問紙調査を実施した後、訪問聞き取り調査においてもその質問紙の項目に重点を置いて質疑応答を行った。ただし、訪問聞き取り調査においては、加えて取り組みの経過やキーパーソン、その取り組みに関わってきた方々の意識や行動の変化を明らかにすることに主眼を置いており、取り組み全体を通した分析として前出の各委員による「提言」を掲載している。